ICT教育

オバマ大統領の大胆な教育支援策に見るコンピューターサイエンスの重要性

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オバマ大統領は、米国内の子ども向けコンピューターサイエンス教育に40億ドル(およそ4,840億円)を投入することを求めていることがわかりました。 この資金は学区ごとに1億ドルが給付される予定だそうです。 ICT教育もまだまだ浸透していない日本にしてみればまったく実感のわかないこの発表ですが、アメリカだけでなく世界レベルで加速していくコンピューターサイエンス教育の潮流に取り残されないよう読み解いてみましょう。

「Computer Science For All」とは?

オバマ大統領が発表した政策は「Computer Science For All」といい、コンピューター科学に関わる児童・生徒や教員、企業や地域に向けてコンピューター科学がいかに必要であるかを説いたものです。
経済社会は常に急速な変化を伴っており、教育者もビジネスリーダーもコンピューターサイエンスがビジネスチャンスや社会の機動性に順応する重要な新しい基本スキルとなることをますます認識しています。
コンピューターサイエンスが科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)のいわゆるSTEM分野の学習おける主体であると考え、これからの技術主導の経済において世界で活躍できる人間になるための機会を与えるものだと考えられています。

オバマ大統領は唐突にこのような大胆な政策を発表したわけではなく、州や都市、教育者や支援団体によって、この数年でコンピューターサイエンス教育に関する気運の高まり、後押しを受け、今回の支援投入の発表に至ったと推測されます。
例えば2015年6月に米サンフランシスコ市は、数年以内にコンピューターサイエンス教育を幼稚園、保育園を含め全学年に拡大することを発表し、セールスフォース・ドットコムの慈善部門が資金を提供することになりました。(WIRED.jp:アメリカで始まる「幼稚園からのコンピューター教育」

画像:Wikimedia Commons画像:Wikimedia Commons

現在のアメリカのコンピューターサイエンス教育事情

アメリカは連邦共和制をとっており、州ごとに政治・税率、また教育制度も異なります。 文科省の発表した「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」の報告書によると、コンピューターサイエンスに関する教育方針は今のところ定められていないが、学校の教育プログラムに規定がない為、その裁量は学校に委ねられています。 そのため、現在いくつかの学校でプログラミングやコンピューターサイエンスの授業が取り入れられており、必須の学校もあれば、選択科目の学校もあり、取り入れ方は様々です。 また他国同様、教える教師不足により、実施できていない現状もあります。
その重要性を唱えるのは国家だけではなくコンピューターサイエンスとコンピューティング教育を推進する全米規模の組織Computer Science Teachers Association(CSTA)が、コンピューターサイエンスを義務教育に取り入れるための働きかけをしています。

「わが子にもコンピューターサイエンスを!」 保護者たちが興味。

オバマ大統領の今後の見通しをうけて、米国内の保護者からは子どもにコンピューターサイエンス教育を受けさせたいとする要望が高まっています。 斬新な授業形態とコンピューターサイエンスが学べることで米国話題の「Alt School」が設立3年目にして入学志願者が殺到し、急速に学校数が増えているのが物語っていますね。

オバマ大統領の多額の資金投資政策と、今のコンピューターサイエンスを代表するApple、Facebook、Microsoftが支援者としてタッグを組むということなので、今後のアメリカの教育からは目が離せませんね。

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