昨今、教育現場でのICT活用が進み、「生徒1人に1台タブレット」という学校も珍しい話ではなくなってきました。 教育現場のICT化が進む一方で、「ICTを活用したら学力が上がるの?」と懐疑的な方が多いのも事実です。 今回はICTを導入している小学校、中学校、高校の教員100名を対象に株式会社デジタル・ナレッジと株式会社Z会ラーニング・テクノロジが行った「小中高におけるICT活用に関する意識調査報告書」(2016年2月)を参考に、ICT導入が進む教育現場の実情をご紹介します。
先生たち大満足! 6割以上の教員が「ICTの成果を実感」
ICTの導入目的では、「生徒の学習意欲の向上」が79%、「授業への関心度・集中力アップ」に77%、「学習効果の向上」に68%など、これら3つに期待する教員が目立ちます。 その中で、「導入後、成果を実感したり授業・生徒の良い変化を感じたか」という問いに対して約6割の教員が成果を実感しており、地域により差がありますが。 中国地方では8割以上の教員が「はい」と回答しています。 「はい」と回答した先生たちの中では、「デジタル機器を使用することで生徒たちの関心が上がる」という声や、「スムーズに実習が進んだ」などの声が多いのに加えて、教員の意識改革につながったなどの回答もありました。
ICTの活用は生徒だけでなく、教員にもいいモチベーションにつながるようですね。
導入機器1位は「パソコン」、タブレット端末も4割と高指数!
機器設備に関する調査では「パソコン」が全体の8割で導入済みとなっています。 中でも中国地方では、今回調査を行った全校で導入されているという結果になりました。 「パソコン」台数について、高校は「情報」が必須科目であることも影響してか、中学校から高校にかけて増加傾向にあります。 「タブレット」に関しては全体の45%と高い指数となっており、北海道・中国・四国での導入が目立っています。 これはタブレットだけでなく、様々な設備機器に関して地域によって違いがありますが、いずれの分野に関しても中国地方は高い数値を出しており、さらに調べてみると岡山や広島で積極的にICT化に取り組んでいることがわかりました。
多種多様な活用方法
ICTの活用方法には決められたマニュアルもなく、先生も試行錯誤しながら使用していると思いますが、活用方法にもいくつかの傾向があるみたいです。 アンケートの回答から、小学生には映像による活用が目立ちます。 理科や算数の図形等黒板や教科書など2Dで表現できない部分で映像を使用することで、子どもたちの理解が深まっているようです。
中学ではデジタル教材や、より高度な使用方法が見られます。 「英語指導の場面では、ほぼすべての場面で活用している。 読む、書く、聞く、 話すの4技能を習得させるために」(石川県・50代教員)といった声など、ICTを全面活用した授業実践をされている先生もおられます。
その他の回答など詳しくは調査報告のプレスリリースページから資料をダウンロードしてご参照ください。
この調査結果で印象的であったのは地域によって活用度合いや教員の反応に差があったことで、地域性や教育環境の違いに起因しているのかもしれません。 それと年配の先生による活用が目立っていることです。 ICTと聞くとどことなく若い先生のイメージがありましたので、とてもうれしい結果でした。
ICT導入校の約6割の先生が「教員向けの講演会」等に参加したり、教員間での勉強会を開催したりと、ICTの活用法に関して積極的に模索されています。 このような流れがもっともっと広がると授業や生徒に良い変化がさらに見られることでしょう。