学力ランク世界上位でIT産業大国として知られるフィンランドが、小学校でプログラミング授業を必修化! 彼らの2016年秋より導入予定のプログラミング教育計画、そして教育現場の状況を紹介します。
IT文化を支える国の政策
IT大国のフィンランドは、世界で初めてインターネットに接続する権利を国が法律で保証すると宣言しました。 その為フィンランドでは、国民の9割以上がインターネット環境にあり、電子政府先進国として、国民IDの導入が早くから実施され、それを利用した電子カルテの利用や、各種申請業務の電子化といった、政府主導の優れたICT活用が成功しています。
また大手通信機器メーカー「Nokia」を筆頭に、様々なIT企業がフィンランドのIT産業を支えています。 次々にITベンチャー企業が誕生し、経済を支えているワケは、国の政策や充実した支援環境です。 これがフィンランドのIT文化を支えているのですね。
フィンランドがプログラミング教育を重視する理由
フィンランドが、プログラミングを2016 年から義務教育に含めることを決定した理由として、「フィンランドではIT が生活に取り巻いており、全ての子どもがソフトウエアについて基礎的なことを学ぶ機会を与えるため」、「今後コンピューターサイエンスが発展すると共に、より一層知識が一般化する」、と述べられています。 またプログラマーを育成する為だけに導入するのではなく、ロジカルシンキングを育てることを大切にしています。
フィンランドの教育制度は、義務教育が9年(小学校6年間と中学校3年間)で、プログラミングは1-9 年生の算数・数学のカリキュラムの一部として導入される予定です。 1-2 年生ではコンピュータに正確な指示を送ることの重要性を習得するために、遊びを通して他の学習者たちに明確な指示を与える練習をします。 3-6 年生では、Scratch などのビジュアルプログラミングを使用し始め、7-9 年生では、プログラミング言語を学び始める、という予定です。
不安要素ゼロ?! 整った教育環境でプログラミング学習
国際学習到達度調査(PISA)で常に上位のフィンランド。 その教育環境は世界最高レベルと言えるでしょう。 フィンランドでは教員の自主性が重んじられており、使用する教材は教員が自由に選定することができ、教材は公的資金で提供されるため、なんと無料なのです! そして、プログラミング教育に関しては効果的な指導方法や教材、ツールなどを、クラウド上で共有していく計画までもはじまっています。
また、2016 年以降のプログラミングの授業に関しては、1-6 年生に対しては学級担任が教え、7-9 年生に対しては数学教員が教えると予定しています。 フィンランドの先生方は修士号取得者や高学歴の方など優秀な先生が多いことも有名です。 物怖じせず、積極的に取り入れる気持ちがあれば、充実したプログラミング授業が可能だと考えられています。
実際に学ぶフィンランドの生徒たち自身も、ネイティブレベルの英語力を持つことから、各国で研究や教材開発が行われているものをすぐ採用できることも大きなプラス要素ですね!
周りを大国に囲まれ“人口が少なく、資源が乏しい小国・フィンランド”が自国を守る為に第一に考えた「教育の推進」。教育環境の整備や将来性、革新性のある教育への取り組みが、彼らのIT産業を進展させています。 日本と国土や資源の乏しさが近いフィンランドから学び、日本のより充実した教育につながるアイデアが見つかるのではないでしょうか。